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コロナ渦における飲食店の在り方

中小企業診断士 中保達夫

食べ歩きが趣味であった父の影響を受け、若い頃から飲食店を巡るのが私の趣味であった。中小企業診断士の資格を取得してからは、その趣味を活かして、飲食店のコンサルティングをいくつか引き受けるようにもなった。私が飲食店を訪問する際には、味だけでなく、店のコンセプト・メニュー設定の工夫・接客サービスなどにも目を凝らしている。店の方にとっては、迷惑な話であるが。

 

ただし、飲食店を取り巻く環境は、このコロナ渦により大きく変わりつつある。日々のニュースでも取り上げらているが、どの飲食店もコロナ渦の影響で来客が激減している、のは皆さんご存知であろう。

 

そんな飲食業者の苦境に対応するための、補助金・助成金がいくつか実施されている。最近の代表的なものとしては、持続化給付金・感染拡大防止協力金等がある。こちらは、要件が該当すれば、ほとんどの事業者がサポートを受けられるものである。

 

また、東京都内の事業者に限定されるが、東京都中小企業振興公社が募集している業態転換支援事業(新型コロナウイルス感染症緊急対策)もここで紹介しておく。こちらは飲食店が、テイクアウト・デリバリーに業態転換、もしくは新業態として実施していく際に掛かる費用を助成してくれる。例えば、印刷物制作費、PR・映像制作費、広告掲載費等から、宅配用バイクリース料、台車料等の車両費が該当する。また、WiFi導入費、タブレット端末、梱包・包装資材当等の器具備品費。さらには、宅配代行サービスに係る初期登録料、月額使用料、配送手数料等まで助成の対象となっている。

https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/conversion.html

 

「とりあえずテイクアウトを実施しているが、中々利用者が少ない」や「宅配代行サービスを利用したいが、手数料が高いために二の足を踏んでいる」そんな事業者がいたら、是非募集要項を読んで申込みを検討して欲しい。当方が確認した限りでは、他の補助金・助成金に比べて、準備する資料や記載内容もそれほど多くないようである。

 

こんなご時世だからこそ、時代の流れを沿って柔軟に経営の舵を切っていける事業者が、この困難を乗り越えていけるのではないか。今回のコロナ渦において、甚大な影響を受けていると言われる飲食業の方々には、利用できる制度は可能な限り利用して、この厳しい現状を乗り越えて頂きたいと切に願う。