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家賃支援給付金の申請はお済ですか?

中小企業診断士 春山英太郎

新型コロナウイルス感染症の対策として、国の家賃支援給付金が開始されてから2か月以上が経過しています。
すでに申請された方も多いと思いますが、まだ申請していない方は是非ご検討ください。

家賃支援給付金は、「新型コロナウイルス感染症を契機とした5月の緊急事態宣言の延長などにより、売上の減少に直面した事業の継続をささえるため、地代・家賃(以下、賃料)の負担を軽減することを目的として、賃借人(かりぬし)である事業者に対して給付金を給付する」というものです。
対象となる法人は、資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者を対象とし、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など、会社以外の法人も対象としています。また個人事業者は、フリーランスを含み、幅広く対象としています。
給付額は、申請日の直前1か月以内に支払った賃料などをもとに算定された金額が給付され、法人は最大600万円、個人事業者は最大300万円です。コロナ禍の収束が見えない状況では大変貴重なものとなります。


申請方法は、持続化給付金と同様に、WEB上から申請手続きを行います。
持続化給付金と大きく異なるのは、賃貸借契約書の提出が求められる点です。

賃貸契約書は、以下の内容に印をつけて提出する必要があります。
1.賃貸借契約であることが確認できる箇所に印をつける。
2.土地・建物の契約であることが確認できる箇所に印をつける。
3.押印されていることを確認する。(ただし署名があれば押印は不要)
4.賃貸人(かしぬし)が現在の賃貸人(かしぬし)と同じであることを確認し、印をつける。
5.賃借人(かりぬし)が申請者ご自身の名義であることを確認し、印をつける。
6.対象となる土地・建物の住所がわかる箇所に印をつける。
7.2020年3月31日と申請日時点の両方で有効な契約であることを確認し、印をつける。
8.申請する該当費用(賃料、共益費・管理費)に印をつける。

この賃貸借契約書について、よくご相談を受けます。長く事業を行っている方は特に、貸主が変わっていたり、事業承継により借主も変わっていることがあります。中には、口約束で、契約書自体が存在しない方もいらっしゃいました。家賃支援給付金は、さまざま例外の規定があり、それぞれ追加で提出が必要な書類が揃っています。

例外1    賃貸借契約書上の賃貸人(かしぬし)の名義と現在の賃貸人(かしぬし)の名義が異なる場合
例外2    申請者が賃貸借契約書の賃借人(かりぬし)などの名義と異なる場合
例外3    2020年3月31日時点と申請日時点において、契約が有効であるのに、契約書を見てもわからない場合
例外4    2020年3月31日から申請日までの間に、引越しなどにより、新たな契約を締結した場合
例外5    土地・建物を賃貸借ではない形態で利用していて、業界団体等によるガイドラインがある場合
例外6    土地・建物を賃貸借ではない形態で利用していて、業界団体等によるガイドラインもない場合
例外7    契約書が存在しない場合
例外9    申請日の3か月前までの期間の賃料の支払い実績を証明する書類が存在しない場合
例外10    申請日の3か月前までの期間に、賃貸人(かしぬし)から賃料の支払いの免除などを受けている場合

どの例外にあたはまるかわからない場合なども含めて、申請できるのかどうか、商工会・商工会議所に問い合わせることをお勧めします。申請サポート会場も全国に設置されているので、活用してみてください。

なかなか確認することの少ない賃貸借契約書です。現状と異なる契約形態の場合は、改めて契約書を見直してください。
事業の基盤となる賃貸借契約を整備し、コロナ収束後に向けた準備を進めるよい機会になります。
東京都で事業をされている場合は、東京都家賃等支援給付金も開始されています。こちらは、国の家賃支援給付金の給付通知を受けていることが条件となっています。あわせて受給する場合は、お早めに国の家賃支援給付金の申請を行ってください。

家賃支援給付金:https://yachin-shien.go.jp/
東京都家賃支援給付金:https://tokyoyachin.metro.tokyo.lg.jp/