中小企業診断士 田中研二
現在、緊急事態宣言の発出に伴った国の経済支援として「一時支援金」という施策が実施されています。
これは、今まで休業・営業短縮協力に関する支援金が地方自治体によって飲食店などに限定されて支給されていたのに対して、緊急事態宣言によって影響があった他の業種に対して支給されるものです。これによって飲食業以外の業種の方々に対しても補償が広がることになり、待ち望まれていた支援施策と言えるでしょう。
しかし、この制度には注意しなくてはならない点や理解が難しい点などが多々あり、しっかりと制度の詳細を理解したうえで申請する必要があります。ご自身が該当しそうだな、と思われました場合は、ぜひ一時支援金特設サイトを入念に確認して申請を行ってください。
ここでは基本的なポイントをいくつかご紹介いたします。それぞれ資料(2021年3月18日時点版)の該当ページを記しますので、ぜひご参考にしてください。なお、申請期間は5月31日までとなっていますが、常に制度の情報は更新されていますのでご注意ください。
ポイント1:給付対象その1
そもそも「新型コロナウイルス感染症の影響で以前から売上が減少していた」のではなく、緊急事態宣言による飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛による売上減少であることが求められています。
その根拠を説明する資料を用意するのは大変ですが、申請時に提出することまでは求められていません。しかし、その根拠となる書類は「保存書類」として7年間の保存義務が課せられています。
→p2~p8を参照
ポイント2:給付対象その2
支給される支援金の額は、
中小法人等 上限60万円
個人事業者等 上限30万円
となっていますが、これはあくまでも「上限」です。
申請者ごとに「対象月」と「基準年」を決めて計算します。
その結果、中小法人の場合であっても支給される額が60万円を下回ることもあり得ます。
→p20・p21を参照
ポイント3:事前確認
今回の一時支援金の申請では登録確認機関による事前確認が必要となっています。
その目的は、昨年の持続化給付金などの支給において不正受給が横行してしまったことや、内容に誤りのある申請が散見されたことへの対策のようです。
この事前確認は、あくまでも申請者が「事業を行っているか」「給付対象等を正しく理解しているか」の確認を行うものであり、申請者が給付対象であるかどうかの審査はしません。
申請される方は、ご自身が対象でない項目についても資料は目を通し、理解しておく必要があります。また、その確認作業の際に何を聞かれるのかは、公開されているマニュアルに記載がありますのでそれも目を通しておくといいでしょう。
(別紙2)一時支援金に関する事前確認マニュアル(PDF形式:227KB)
→p13~17
また、事前確認の登録機関はここから探せます。
ポイント4:申請方法
この申請は原則オンライン申請になっていますが、オンラインの申請が難しい方には申請サポート会場が設けられています。
しかし、ここはあくまでも申請のサポートであり、相談窓口ではありません。
ポイント5:相談窓口
いずれにしても、この一時支援金はあくまでも一時的なものです。
新型コロナウイルス感染症の終息も見通しが難しい状況です。ぜひご自身のビジネスモデルをしっかりと見直して、継続的に持続可能なビジネスモデルへと昇華させていくことも必要です。
以上