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Amazonなどとの会話は難しい

中小企業診断士 佐川博樹

コロナ禍にあって、中小小売店は非常に厳しい状況だろう。
それでなくても、Amazonや楽天などのネット各社の急激な台頭によって、街の小売店は非常に厳しい現実にさらされているだろう。
また、大手資本の小売店や100円ショップなどの300円、500円といったさらなる展開で苦境に立たされている点も挙げられよう。

 

「競争だから仕方ない」

 

 

とあきらめる向きもあるようだが、生活がかかっている中小小売店ではそうもいかない場面もあろう。

 

あらためて、ネットでできないことがないか考える

中小小売店がネット大手のAmazonなどと同じことができるはずもない。それは残念ながら事実である。
そう考えると、ネットではできないことが何かないかと考えるのが良さそうだ。それが相対的強みであろう。

 

たとえば、ネットでは簡単には試食はできない。本もAmazonなどでちょっと試し読みのようなことはできなくはないが、立ち読み感覚にはなりにくい。最近はカフェ併設の本屋などもたくさんある。こうしたものはネットではちょっとやりにくいというものであろう。

 

会話はどうか

ネットショップの人間と会話するというのも現段階ではなかなか難しい。


最近は何でもネットで調べられるから、小売店の店主よりも消費者の方が情報を持っているなんてこともないわけではない。
が、やはり小売店の店主がこだわって、きちんと仕入れた物については消費者が持っている情報よりは詳細の情報を持っているだろうし、その店主がなぜその商品を仕入れたかということはその店主の情報だから、Googleで検索はできない。

 

 

そう考えると、会話する、ということは、実店舗での重要な要素なのではないかと思う。

 

SNSとの連携で効果がさらに出る

SNSなどでは会話ができると考えている消費者もいる。実際、メッセージのやり取りができたりもするし、インスタライブなどでは顔も見られる。が、やっぱり直接会って話すのとは少し違う。


しかし、SNSなどで相手の顔を知っていたり、店の雰囲気を知っていたりすると顧客が来店するハードルは大きく下がることは間違いなさそうである。飲食店でものれんの先が見えないと入るのは不安だが、中がわかっていれば、引き戸を開けやすくなるものである。

SNSで魅力を伝えてひきつけ、そういった入店のハードルを引き下げ、会話できる環境を整えておくとネットとは大きな違いが出せるように思う。

 

 

Amazonや楽天ではなかなか店員さんと会話しながら買うものを決める、という楽しい体験はできないものだ。会話できる店というのは、100円ショップなどでも実現が難しいだろう。「カリスマ店員」などという言葉もあるが、そこまでいかなくても十分、会話という点ではネットに対抗できる素地が中小小売店にはあるのではなかろうか。

 

人間味を感じる、誰から買うかが大事、ということを考えたとき、ネットショップでは感じられない何かを提供できないだろうか。