中小企業診断士 高木 悠
近年、事業環境が急速に変化しているため、これまで通りのやり方をしているだけでは環境変化に取り残されてしまいます。
環境変化のスピードが増す現代は、環境変化に対して自社を適応させていけるよう、自ら変化を起こす行動をすることがより大切になってきます。ただし、変化にはリスクが伴うため、通常はなかなか変化を起こす行動を取ることができません。
そこで重要になるのが、計画と実績をもとに、継続的に取り組みをブラッシュアップし続ける活動です。この活動のことをPDCAサイクルと言います。PDCAの各イメージは以下のとおりです。
P=Plan:計画策定。目標と目標達成のための取り組みを明確にする。
D=Do:計画実行。会社全体で従業員が自分事として取り組む。
C=Check:実績評価。取り組んだ実績を計画と比較して問題点を把握する。
A=Act:改善。評価結果をもとに、計画を見直して次の改善策につなげる。
中小企業で持続的に利益が出ている企業は、どの企業も自社内でPDCAサイクルが上手く機能しています。経営者自らが変化への対応の重要性を認識しており、計画策定により新しい取り組みにチャレンジしているとともに、その取り組みを一過性で終わらせることなく、PDCAサイクルを回して取り組みの精度をブラッシュアップし続けているのです。
PDCAサイクルをうまく回すためのポイント
PDCAに取り組む2つのコツをご紹介します。
1.目標を具体的にする。
PDCAサイクルは実行した結果を評価し、評価結果を踏まえて行動をブラッシュアップするサイクルを継続的に回すことがポイントですので、実行した結果を評価できる仕組みにしておく必要があります。それには、計画の目標を具体的にすることが有効です。
また、設定した目標を達成するための具体的な実行策までを明確にしておくことで、実行した結果を評価し、評価結果を踏まえて行動をブラッシュアップするサイクルを回すことができるようになります。
2.全従業員が一つの目標に向かって取り組む
計画は経営者一人では実行できません。また、幹部社員だけが頑張っても成果はでません。計画を全従業員で共有して浸透させ、目標達成に向けて自分事として取り組むことが成功の秘訣です。そのためには、事前の役割分担と準備が大切です。
役割分担と準備を行ったうえで、実際に計画を実行してPDCAサイクルを回し、少しでも成果が見えてくると、従業員のモチベーションが大いに上がります。モチベーションアップこそがPDCAサイクルを回す原動力になります。
現状把握して、考えて、行動する
PDCAサイクルと聞くと、「手間がかかりそう」とか、「やっても意味ない」と思われるかもしれません。しかしながら、急速に環境変化が進む現代において、環境変化に迅速に対応することの重要性が高まっています。行動変化のきっかけとなる経営計画を策定することはもちろんこと、策定だけで終わらずに、自らが変化するためにPDCAサイクルを回し続けることが大切です。難しく考えず、まずはしっかり現状把握をすること、考えること、そして従業員と共有して行動することからはじめてみるとよいかもしれません。
以上