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SDGs経営のすすめ

中小企業診断士 足立秀夫

SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された2030年までに達成すべき国際目標のことです。「持続可能な開発目標」と訳され、気候変動、貧困、健康やジェンダーなど地球規模の課題を解決するため、「誰一人取り残さない」という理念のもと17の目標を設定しています。

これらの目標には、詳細な169のターゲットが設定されていますが、主に国家や行政が取り組むような内容として紹介されています。そのため、一般企業がどのように取り組みをしなければならないのか、具体的な取組方法が分かりにくいかもしれません。

 

政府や自治体だけでなく、民間企業でもSDGs へ取組みが進んでいます。

SDGsへの理解・取り組みについて、ある民間調査報告(2021年6月)によれば、「SDGsの意味および重要性を理解し、取り組んでいる」企業は14.3%となり、前年調査より6.3ポイント増加しました。

「SDGsに積極的」な企業は前年より15.3%増の39.7%と、大きく増加しました。

 

その一方、SDGsへ取り組んでいない企業は50.5%と半数を超えています。

規模別でみると、「SDGsに積極的」な大企業が55.1%、中小企業が36.6%で、大企業より18.5;ポイント下回っています。SDGsに対する意識は企業規模で差が表れています。

 

「SDGsは大企業が取り組むもの」と決めつけている方、「中小企業にもSDGsは必要なのか?」と疑問を持つ中小企業経営者の方がいらっしゃいます。

多くの経済活動が複雑に構成されたサプライチェーンの上に立っている現在、どのような規模の企業であろうともESGやSDGsに端を発するビジネス環境の変化から大いに影響を受けると予想できます。

経済的・社会的な変化から直接的かつ大きく影響を受けるのは、むしろ中小企業の方だといえるのではないでしょうか。

 

企業がSDGsに取り組むこと(SDGs経営)は中小企業にとって大きなメリットがあります。

 

主なメリットとして以下の4つがあります。

(1)生存戦略になる

取引先のニーズの変化や新興国の台頭など、企業の生存競争はますます激しくなっています。SDGsに取り組んでいることが、大企業が取引先を選ぶ条件になってくる可能性があります。また、社会のニーズとマッチした持続可能な経営を行うための戦略として活用できます。

 

(2)新たな事業機会の創出

SDGsに取り組むことにより、地域との連携、新しい取引先や事業パートナーの獲得につながり新たな事業の創出など、今までになかったイノベーションやパートナーシップを生み出すきっかけになります。

 

(3)企業イメージの向上になる

SDGsの取り組みを発信していくと、「この会社は信用できそうだ」「この会社で働いてみたい」という印象を与え、企業の信用性が高まり、人材不足の中でも離職率が減り、意欲的で多様な人材の確保につながります。

 

(4)社会課題への対応でリスク管理に役立つ

SDGsには、社会が抱えている様々な課題が網羅されており、今の社会が必要とするニーズが詰まっています。これらの課題に対応していくことで、経営リスクの回避とともに社会への貢献や地域での信頼獲得につながります。

 

中小企業がSDGs経営をするには、次のことから始めます。

なお、具体的な進め方は身近な中小企業診断士に相談してください。

 

1) SDGsの内容を知る

2) 業務を棚卸し、自社の事業と結び付けてみる

3) 自社のカギとなる目標に取組む

 

中小企業がSDGs に取り組むことは、地域の課題解決をしながら地域経済発展に貢献をし、対外的ブランディングと社内向けブランディングを同時に行うことができ、優秀な人材の確保にもつながるという大きな意義があります。

 

この機会にぜひSDGs経営を始めてみてください。

以上