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創業時の借入は住所要件に注意

中小企業診断士 佐川博樹

 

創業時に、足りない設備投資の資金などを借り入れる場合、住所要件に注意したほうがいいです。この住所要件を満たせなくて、借入をあきらめるという声が少なからずあります。

 

ただ、今後、少しずつ変わっていく可能性もゼロではありません。借り入れの申請をする前に各所に確認するのがいいでしょう。特にバーチャルオフィスなどを借りている時には注意が必要です。

 

物理的な見た目は「占有エリアがあるかどうか」が大切

創業時はどうしても資金的に厳しいケースが多いですし、個人事業から始めることもありますから、自宅の住所を晒したくないということもあります。そんな時便利なのはバーチャルオフィスですね。

 

バーチャルオフィスにもいくつかパターンがあるかと思います。

  • まったくのバーチャルオフィスで登記だけできたり、登記+ポスト貸し、電話番程度のもの
  • シェアオフィスで完全なフリーアドレス(せいぜい、占有ロッカーがある、ポスト貸し程度)
  • 一応、占有の仕切りがある場所があり、自分がいないときでもそこには誰も座らないスモールオフィス
  • 天井まできちんと仕切りがあり、一坪くらいかもしれないがドアがついていて鍵がかかるオフィス

などがあろうかと存じます。このうち、下から二つ目はぎりぎりセーフ。一番下はほぼOKです。上の二つは占有エリアがないので、恐らく不可の可能性が高いです。

 

契約書の期間も大切

バーチャルオフィスやシェアオフィスは安いがゆえに気軽に契約して、気楽に解約できるというメリットはあります。が、創業時に借り入れを起こす際には、そこが逆にデメリットにもなり得ます。契約期間は次のようなパターンがあるかと思われます。

  • いつでも契約でき、いつでも解約できるパターン(カード決済などで自動引き落とし)
  • 数か月分を前払いして、自動更新していくパターン
  • 一年や二年、固定で契約して、年単位で更新していくパターン
  • その他(週単位や日単位など)

これらの契約期間のうち、年単位はぎりぎりセーフの可能性あり(一年だと不可と言われた例あり)。月単位程度ではだめなケースが多いです。

 

信用保証協会も、金融機関も「定着度」を見ている

お金を貸す側(保証する側)からすると、お金を貸した後、ドロンと消えられては困るわけです。その意味では、その会社、または個人がその場所に「定着しているかどうか」が大切なわけです。

 

たとえば、きちんと事務所を借りて、保証金を支払い、3年単位で契約更新ということであれば、少なくとも3年はそこにいると想像できます。また、保証金が足かせになって、簡単には動かないだろうとも予想できます。

 

一方、バーチャルオフィス、シェアオフィスだと、簡単に解約して消えてしまう可能性が否定できません。ましてや、占有エリアを持たないとなると、そもそもその場所に意味があるのか?ということになりかねません。結果、お金を貸す側からすると、「定着の信用度がない」ということになりますから、お金を貸しにくくなりますね。

 

こうした事情を考えて、創業時に借り入れをする際、住所についてはよく考える必要があります。

 

以上