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経営力再構築伴走支援における研修

中小企業診断士 榎本博之

 

いよいよアフターコロナに向けた動きが本格化しそうな段階に入りつつある。様々な環境変化の中で、経営支援のニーズも大きく変わり、我々経営コンサルタントの姿勢も見直さなければならないタイミングともいえる。

 

そんな中、国が新たな支援の方向性として提示している「経営力再構築伴走支援」における研修を受講した。

これまでは支援者側が現状分析や戦略立案を中心になって行い、答えを見つけ出すことがコンサルタントの役割と考えていた部分が少なからず私にはあった。

改めて、研修の中で気づかされたのは、ペースメーカー的な役割ではなく、信頼関係を構築しながら、自律して経営を実践するノウハウを蓄積するためのサポーターとして、コンサルタントが果たす役割への意識変革である。

 

特に印象に残っているのが「話し上手と話し下手は意識するけど、聞き上手と聞き下手は意識されない」についてだ。

誰もが普通に人の話を聞いていると思い込み、「聞き上手」になっているつもりが強い。果たして本当にそうだろうか。

途中で話を止め、すぐに理解したつもりになって、勝手に答えを見つけ出そうとしている自分に改めて気づかされた。

 

教わったのは、自分なりの理解で終わらせず、その「答え」の本当の意味を徹底して掘り下げ、相手に教えてもらうことが重要である点だ。研修では受講生同士のロールプレイングを徹底して行い、相手に対しての敬意と興味関心を向けながら、徹底して「教えてもらう」ことを意識して話を聞いた。

 

途中、理解したつもりになる思考が頭を出しかけたが、まずは話を聞くことに集中した。するとどうだろうか、相手への興味関心が対話のテーマとなり、より深い理解へとつながっていることに気かされた。

 

研修終了後も、実務の場で、まずしっかり聞き、相手から教えてもらう姿勢を意識して行っている。

まだまだ自分の中ではうまくコントロールできないことも多いが、しっかりと話を聞く姿勢を意識することで、相手が何をしたいのか、何を意識しているのかを理解しようと努めている。

 

今後ますます世の中は不透明感を増すだろう。

そしていろいろな制約条件の中、乗り越えるべき課題は多くなってくる。

経営者の伴走者として、何かサポートできるために自分自身も変わっていかなければならないと思いながら、これからも行動していきたい。

 

以上