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機能的価値と情緒的価値の合わせ技で商品・サービスを差別化しよう

中小企業診断士 木村孝史

今回は、商品・サービスの特徴を打ち出すのにお悩みの事業者様に向けて、考え方の手順や方法のヒントをお伝えします。

 

 

 

商品・サービスの差別化の3ポイント

当店がお勧めしたい商品・サービスについて、他店と異なる特徴を出して差別化するにはどうしたらよいのか、相談を受けることがあります。その場合、まずは現在の経営状況の把握を兼ねて、事業者様が「誰に・何を・どのように提供している」のか、つまり「どのような対象顧客に、お勧めの商品・サービスを、当店のどのような強みを活かして提供している」のかヒアリングするようにしています。

 

具体的に一つ目としては、対象とする顧客を明確に意識されていない場合が少なくないので、どのようなエリア、年代、家族構成か、さらにどのような特定のニーズや趣味嗜好のお客さんが対象になりそうかお聞きします。そうすると事業者様ご自身の頭の中で整理ができて気づきをお持ちになり、これだけでもやるべきことがかなり見えてくるようになります。

 

二つ目としては、独自のノウハウや技術などを盛り込んだ強みがあるにもかかわらず、商品・サービスのPRにうまく反映されていない場合があるので、企画している時点か、仕入れたり作ったりしている段階か、接客しながらお勧めしている際か、どこかひと手間かけているところがないか伺います。商品・サービスを提供する時系列の工程に分けて順を追って調べていく中で他店では実施していない点が見つかれば、特徴として打ち出せる大きな要素になります。

 

二つ目までに特徴をうまく打ち出せない場合に三つ目として、商品・サービスを今回のテーマである機能的価値と情緒的価値の二つの側面から捉え直すことができないか、考察を促しています。

 

 

 

機能的価値と情緒的価値

機能的価値は、高い品質や製造・加工の安全性、効能・効果、それらを踏まえての安さ(値頃感)などの切り口が訴求ポイントになります。これらは仕様や機能に関わる説明的な内容で数値でも示せるものです。商品・サービスの販売の際の一般的な示し方と思いますが、他店も似たような切り口で説明をしている可能性が考えられます。

 

そのような場合には、もう一つの情緒的価値の側面からも訴求することをお勧めします。情緒的価値は、利用シーンや背景の文化や物語、地域の自然や歴史、社長や従業員スタッフのこだわりなどの切り口が訴求ポイントになります。これらは、どちらかというと感覚的・イメージ的な内容で数値では示しにくいものです。当店や商品・サービスにまつわる固有の情報で他店とカブることは少ないので、特徴を打ち出す際の切り口にしやすいです。

 

具体的な事例として、新商品の惣菜パンを販売しようとしている事業者様の相談では、小麦粉や具材、値段の設定など(機能的価値)について詳しく説明を受けた後に、例えば朝に食べるのが良いのか小腹がすいたときをお勧めするのか、地元の農家さんの採れたて野菜を使っていないか、発酵に何か工夫をしていないかなど(情緒的価値)の側面からも商品のPRに盛り込める点がないか検討をお勧めしました。

 

 

まとめ

今回、特に機能的価値と情緒的価値の側面から商品・サービスの差別化についてのヒントをお伝えしました。なお、二つの価値は両方セットで訴求することが効果的で、事業者様の業種・業態によって切り口をアレンジする工夫が必要です。

 

 

また、対象顧客と提供方法と商品そのものの三つに分けてお伝えしました。これらは本来一体のものですが、意識してあえて切り分けて考えてみることで気づきを得やすくなりますので、特徴の打ち出し方で困ったときの方法としてお試しになってみてはいかがでしょうか。