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ChatGPT利活用の方向性

中小企業診断士 山浦直晃

 

近年、AI技術の発展によって、私たちの生活やビジネスにおいて、新たな可能性が広がっています。その中でもChatGPTは、最近注目を集めているAIの一つです。私自身も、支援先からChatGPTに関する質問をよく受けるようになりました。そこで今回は、ChatGPTの利活用について考察してみたいと思います。

 

1.ChatGPTについて

すでにご存じの方が多いとは思いますが、まずChatGPTとは何かを説明します。

ChatGPTは、OpenAIによって開発された高性能なAIであり、インターネット上で公開されています。GPT-3.5(※有償版はバージョン4)という技術を基礎に構築されており、過去の大量のテキストデータの学習にもとづいて、自然な言語での応答が可能です。その性能を利用して、質問への回答、文章作成、要約、翻訳など、多様なタスクに対応できます。

 

ChatGPTは以下のURLから、原則無料で使用することができます(ただし利用するためにはサインアップが必要です)。

https://chat.openai.com/chat

 

ChatGPTの使い方はシンプルです。テキスト(自然な形の文章)で指示(これを「プロンプト」と呼びます)を与えると、応答が返ってきます。前回の応答を踏まえて次のプロンプトを与えることができるため、あたかも自然な会話のようなやり取りが可能です。

 

2.ChatGPTの活用

中小企業は、大企業と比較して経営資源や人材が限られているため、厳しい状況に置かれています。それを克服するためにも、中小企業は効率的な経営や新たなビジネスチャンスの創出が求められています。その解決策の1つとして、ChatGPTのようなAIの利活用が期待されています。以下に利用例を記載します。

 

1)文書作成支援

ChatGPTの最も基本的な使い方は、報告書やプレゼンテーション資料の作成プロセスの効率化です。具体的には、従業員が作成した草稿の校正・添削を行い、文法や表現を改善することができます。手順はとてもシンプルで、プロンプトに草稿をペーストして「添削してください」と指示するだけです。また、大量のデータや情報を分析し、要約して分かりやすく伝えることや、重要なポイントを抽出して資料に組み込むような使い方もできます。この手順もシンプルで、プロンプトに資料をペーストして「要約してください」と指示するだけです。

 

2)アイデア創出と問題解決のサポート

ChatGPTは、アイデア創出や問題解決のツールとして非常に有用です。例えば、ChatGPTを用いたアイデア創出のプロセスでは、特定のテーマに関してChatGPTに繰り返し質問することで、関連するアイデアを提案してもらうことができます。

さらに、ChatGPTの対話機能を活用した壁打ちやブレインストーミングも効果的です。壁打ちは、通常は他人に話を聞いてもらいながら考えを整理するプロセスですが、ChatGPTを使うことで1人でも実現可能です。ブレインストーミングでは、ChatGPTが関連する単語やフレーズを提供することで、新しいアイデアの発想を促すことができます。

 

3)プログラム開発

ChatGPTを活用することで、Excelのマクロ作成やGoogle Apps Script(GAS)のようなプログラミングにも対応できます。筆者自身の経験に基づく事例として、特定のスプレッドシートから別のスプレッドシートへ必要な情報を転記するプログラムをChatGPTによって生成し、業務効率化に貢献できました。手順はシンプルで、最初に「~という処理のGASを作ってください」と指示を与えるだけで、GASのプログラムコードを生成してくれます。その後、生成されたGASを実行しながら、修正の指示を繰り返すことで、プログラムが完成しました。

 

4)翻訳業務の支援

ChatGPTは、複数の言語に対応しているため、翻訳業務を効率化することができます。これにより、国際取引や多言語対応が求められる場面でのコスト削減や、人材不足の解消が期待できます。

 

5)顧客対応の効率化

OpenAIはChatGPTのAPIを提供しています。これを活用することで、自社のウェブサイトやアプリにチャットボットとしてChatGPTを組み込むことが可能です。その結果、従来よりも柔軟かつ迅速にFAQや問い合わせ対応を行うことができることが期待されます。

 

3.中小企業がChatGPTを活用する上での留意点

今後、ChatGPTのさらなる発展とともに、中小企業における活用範囲も拡大していくことが期待されます。効率化やコスト削減だけでなく、新たなビジネスチャンスの創出や企業の競争力強化に寄与する可能性があります。しかし、ChatGPTの性質上、利活用の際には以下の点に留意することが重要になります。

 

1)データセキュリティ

OpenAI社の利用規約によると、ChatGPTに入力した内容はOpenAI側で無制限かつ無償で利用されることを許容する必要があります。そのため、ChatGPTを活用する際は、データセキュリティへの配慮が重要です。機密情報や個人情報が含まれる文書の取り扱いには十分注意し、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。

 

2)倫理的配慮

ChatGPTは、バイアスのあるデータに基づいて学習しているため、意図しない偏見や差別的な表現が生成される可能性があります。このため、生成されたテキストの内容を適切にチェックし、倫理的な観点から問題がないか確認することが重要です。

 

3)人間とAIの協働

ChatGPTは効率化や業務支援を目的としていますが、先述の観点から考えると、完全な自動化を目指すのではなく、人間とAIが協働する形で活用することが望ましいです。人間の専門知識や判断力と、AIの効率性やスピードを組み合わせることで、最大の効果が得られると考えられます。これらの対策を講じることで、より安全かつ効果的にChatGPTを活用することができます。

 

参考までに、ChatGPTが生成した「さいごに」を掲載して、本コラムを終了したいと思います(私の原稿を要約して記述してくれました。原文のまま掲載します)。

 

さいごに

ChatGPTは、その高い性能と多様な活用方法により、中小企業における効率化や新たなビジネスチャンスの創出に大きな可能性を秘めています。しかしながら、データセキュリティや倫理的配慮、人間とAIの協働といった点に注意を払いながら活用することが重要です。これらの留意点を踏まえつつ、中小企業がChatGPTを戦略的に活用することで、競争力の向上や業務効率化を実現し、より良いビジネス環境を築くことができるでしょう。今後もAI技術の進化に目を光らせ、その恩恵を最大限に活かすことが求められます。

以上