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継続と進化、そして成長

中小企業診断士 榎本博之

 

かれこれ中小企業診断士として23年近く活動してきた。あっという間ではあったが、考えてみると長い月日とも言える。

 

「商い」とは「飽きない」と言われるように、始めることよりも続けていくことが大切だとよく言われる。日々当たり前のことをきちんと継続できているか、自分でも意識しているが、多くの商人たちがそれをこなして対応していることが競争力の源泉になっていることが多い。

 

毎朝早くからその日の仕込みを行う飲食店、市場から仕入を行う小売店、まっとうなことをしっかりやりつつける姿勢はお客様の評価となって表れている。ルーティンや凡事徹底に通ずる、続ける姿勢をいかに維持できるかを経営者とも一緒に考える機会が増えた。

 

好きこそ物の上手なれと言うが、きっかけは些細なことから生まれることが多い。それがタイミングと偶然が重なりビジネスチャンスとなっていく。自ら積極的に取り組んでこなくても続けることで自分の強みなっているケースも少なくない。場合によっては、なんとなく続けてきたことが希少性を生み出し、競争力の源泉になる場合がある。

 

同じ取り組みを続けるのも称賛に値するが、そこから進化の種を見出し、自分なりにブラッシュアップさせるのも成長への原動力になる場合がある。

 

「守破離」という言葉にある通り、最初は型通りに守っていたことが、それを破り新たな付加価値を生み出し、当初の型を離れていくと、これまでになかった独自性につながっていくのである。独自性はいきなり生まれない。小さな積み重ねによってその先から発展するのである。

 

たとえ三日坊主となっても、また翌日から続けていけば、その先に新たなチャンスが待っている。変化が激しく、情報が膨大な時代に、自分だけのぶれない軸をどう構築するか、自分の続けてきたことから振り返って探すのも一つと言えるのではないか。

 

2023年の年の瀬、次の成長に向けたヒントを整理する良い機会にしたい。