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展示会と補助金の活用

中小企業診断士 春山英太郎

 

新型コロナウイルス感染症が5類感染症に指定されたのは、ちょうど1年前の令和5年5月8日でした。

5類感染症では、「法律に基づき行政が様々な要請・関与をしていく仕組みから、個人の選択を尊重し、国民の皆様の自主的な取組をベースとした対応に変わる」と、厚生労働省のホームページに記載されています。

現在では、マスクを着用しない人が増え、飲み会なども通常通り行われています。

 

ビジネスにおいては、オンラインでのミーティングが利便性や働き方の多様性から根強い人気を保っていますが、対面でのコミュニケーションも復活しています。

リアルな会話は意思疎通がしやすく、その重要性を改めて感じます。さらに、各地で展示会が盛んに開催されており、状況はコロナ前の水準に回復しています。販路拡大のために、展示会への出展を検討してみてはいかがでしょうか。

 

展示会のメリット

日々の業務に追われる中、特に小規模事業者の方にとっては、新規顧客獲得に向けた営業活動が疎かになりがちです。

最近では、電話やメールで営業活動を行っても、効果につながりにくい印象があります。

その点、展示会では、来場者の多くがテーマやコンセプトに興味を持ち、何かを探しています。

より確実な商談につながる可能性が高いため、営業体制が整っていない小規模事業者にとって、展示会は有効な施策だと考えます。

 

顧客と直接対話できる機会は貴重であり、双方向のコミュニケーションによって潜在顧客のニーズを把握できます。

思うような成果が出なかった場合でも、何が足りないのかを知るためのフィードバックを得られます。

また、来場者から、自社の商品やサービスを活用したアイデアを得られることもあります。

 

展示会の準備に向けて

初めて展示会に出展する方は、まず目的を明確にすることが重要です。

営業先の獲得が最終目標であると考えられますが、自社の認知向上や市場調査といった視点からも捉えることができます。

また、出展内容は自社の商品やサービスを幅広く紹介するのではなく、ブランドメッセージを一貫させるために絞り込むことが肝要です。

 

出展内容が決まれば、それに合った展示会を選定します。

大規模な展示会だけでなく、小規模な展示会も検討しましょう。

展示会の規模によって、より密なコミュニケーションが可能となることがあります。

 

過去に出展した企業のリストなどがあれば、競合他社を把握するのに役立ちます。

そして、興味のある展示会に来場者として参加することで、雰囲気や求められるアフターフォローを含めた接客対応について、客観的な視点を得ることができます。

また、展示会の成功に向けて、動画やチラシ、ポスターなども参考になるでしょう。準備には時間がかかるため、余裕をもったスケジュールで取り組むことが重要です。

 

補助金の活用

展示会の出展費用は懸念される点です。

展示会によって金額はさまざまで、数万円から数十万円と幅があります。

また、ブース設営や営業ツールの作成などの付随費用も考慮すると、それなりの金額になることが予想されます。

 

経費の面では、補助金を活用することを検討してください。

執筆時に、小規模事業者持続化補助金の第16回の公募が開始されました。

記事をご覧になった時点で既に締め切りが過ぎているかもしれませんが、小規模事業者持続化補助金は年に数回公募されることがありますので、利用を検討してください。

 

展示会出展費用以外にも、補助対象となる経費がありますので、公募要領をよく確認してください。

もし疑問点があれば、地域の商工会や商工会議所に相談してください。

また、自治体が提供する補助金や助成金もあります。

金額は比較的少額ですが、申請が容易であり、採択されやすい傾向にありますので、あわせて検討することをお勧めします。

 

以上