中小企業診断士 佐川博樹
取引先の倒産リスクを考えたことはありますか?
特に、顧客である法人の倒産は自社にも大きな影響がありますから、注意が必要ですね。
仕入先の倒産など
仕入先の倒産はまだ、納入先の倒産よりはリスクが少ないですね。発生しても資金的な事業継続にはあまり大きな影は落とさないでしょう。
しかし、次の場合は危険です。
- 買掛金が多い
- 競合がいないような商品を仕入れている
1の買掛金が多い時、倒産した会社の管財人から買掛金をしっかり払うよう促される可能性があるでしょう。ましてや、ちょっと待ってて、なんていう買掛金が残っていたりすると困ります。
競合がいないような商品を仕入れている場合も注意が必要です。なぜなら、他から仕入れられなくなると困りますからね。これは倒産だけでなく、当該企業が被災した場合などにも同じことが言えますので、留意が必要です。
この2つに該当する場合は、注意しておかなければなりません。代替案を考えておく必要があります。
納入先の倒産など
逆に、品物などを納品している先である顧客が倒産した際のリスクは大きいですね。売掛金を回収できなくなる可能性がありますからね。
事前の対応策として考えられるのは、
- 経営セーフティ共済などに入っておく
- 与信残高をしっかり管理しておく(場合によっては低めに設定しておく)
ということが考えられます。
経営セーフティ共済は、中小企業基盤整備機構がやっている共済です。取引先が倒産したなどのリスクが発生したとき、お金を素早く借りられる制度です。売掛金の回収リスクそのものを減らすわけではありませんが、資金繰りリスクの回避には使えます。
一方、多くの中小企業が与信管理をしていないケースを見ます。月額の取引が、5万円、10万円でも個人事業主の場合は大きいということもありますから、取引先への与信管理はしっかりした方が良いでしょう。
私も経験済み
私の場合は、仕入先の倒産経験がありまして、なんとかリカバリーしました。
ラッキーだったのは、倒産した会社の社長が同業他社に再就職できたことです。期間はかかりましたが、再発注までにはなんとかその状態になったので、助かりました。その代わり、与信残高が厳しくなったことと、取引条件が変わったことはありました。
実際、このリスクは織り込み済みではありませんでしたので、こういう経験が今後の動きを変えますね。
以上