ここ数年、小売業を取り巻く環境が激変している。さまざまなコストが増加し、人手不足が慢性化している。
キャベツや米など、供給不足からこれまでとは異なる次元での消費行動や対応が増えてきている。
このような買物手段の多様化に伴い、売場に求められる機能や役割は変化している。
ネット通販や買物代行、デリバリーといった選択肢が増える中で、利用客がわざわざ売場を訪れる意味を見出す必要性が高まっている。
最近の店舗選び
これまで店舗選びの要素として「家から近い」「価格が安い」「品揃えが豊富」といった点が重視されてきた。
しかし最近では、「利用客にとって一番に思い出す店か」が問われている。
経営トップも「イメージ向上」や「ブランディング」を意識して、取り組みを強化している企業が増えている。
つまり、店舗のありたい姿を明確にし、地域に欠かせない存在となることが求められている。
そのためには、期待される社会的責任を果たし、地域社会に必要な機能を提供することが重要である。
店舗のイメージ形成
イメージ形成の第一歩として、売場側からのメッセージを発信することがポイントとなる。
経営理念やビジョンを店内に掲示し、利用客との約束を具体的なメッセージとして伝える。
目指す姿を明確にし、売場でその取り組みを実現することで、利用客のイメージ形成につながる。
一方で、メッセージがあいまいだと、売場の特徴や魅力が伝わりにくい。
店内の目立つ場所に掲示することで、利用客だけでなくスタッフへの動機付けにも効果を発揮する。
コスパ・タイパを意識する消費者が大勢を占める中、店舗側のメッセージをどのように伝えるかで、来店への選択肢となるか否かの判断にも影響を与えていることを理解する必要がある。
今改めて自分の会社が社会とどのようなかかわりを持ちたいのか、明確にするタイミングに来ている。
店づくりの具体的取組み
次に、目指すべき姿の実現に向けた具体的な取り組みである。すべてを新しく変える必要はない。
大切なのは、これまでの取り組みと一体感を持たせ、その相乗効果を発揮させることである。
例えば、利用シーンやイメージを喚起する提案は、既存のノウハウを活用して検討すると、利用客に理解されやすい。
スーパーマーケットにおけるライフスタイル提案においては、食品を中心に日用雑貨、衣料、コスメなどを組み合わせる案が考えられ
る。
日常生活に不可欠な商品を食品だけでなく、日用雑貨や衣料品には幅広げていく取り組みは、GMS(総合スーパー)が減少している現状において、食品スーパーマーケットでも注目されている。
これらの提案が店舗の方向性に合致すれば、利用客の理解はさらに深まる。
他の商品を組み合わせて販売することで、来店頻度の増加にもつながる。
商品の質や品揃えは重要ではあるが、自分のお店に来ると「得すること」「便利なこと」をイメージできる、共感できる要素が求められている。
常にこの視点を意識しながら地域に欠かせない店づくりが必要となってきている。
プラスアルファが新たなビジネスチャンスを生み出す原動力となっている。
以上