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非プロンプトエンジニアリング~生成AI、まずは使ってみること

中小企業診断士 大山昇

 

2025年8月8日、ChatGPTの最新モデルGPT-5が発表されました。

ChatGPTが最初に公開されてから、もうすぐ3年。生成AIは日々進化を遂げ、私たちの仕事や生活にますます浸透しています。

そんな中で、「うまく使いこなすには高度なプロンプトエンジニアリングが必要なのでは?」という声も聞かれます。

 

「プロンプト」とは、AIに与える指示や質問のことです。

たとえば「旅行の計画を立てて」「この文章を短くして」といった依頼から、「◯◯の形式で、△△の条件を満たし、□□を含めて」といった細かな指定まで、すべてがプロンプトです。

そしてプロンプトエンジニアリングとは、この指示を工夫して最適な答えを引き出す技術を指します。

 

ただ、ここで考えてみてほしいのは、人間同士の会話でも最初から100点満点の答えが返ってくることは少ない、ということです。

話しながら条件を変えたり、追加で質問したりして、徐々に精度を上げていくものですよね。

AIも同じです。1回の質問で完璧を求めるより、やり取りを重ねて答えを磨いていく方が自然で効率的です。

 

名前の通り、ChatGPTはチャットしながら使うAIです。答えを受け取ったら、「もっと簡単に」「図にして」「例を増やして」など、その場で追加指示を出せば十分。高度なプロンプト設計を最初から覚える必要はありません。

 

かつては、人間がコンピュータと対話するためにプログラミング言語や専門コマンドを学び、コンピュータに歩み寄る必要がありました。

しかし生成AIの登場により、日常会話でコンピュータとやり取りできる時代が到来しています。せっかく壁がなくなったのですから、わざわざ難解な指示文で複雑にする必要はありません。

自然な言葉で「こうしてほしい」と伝え、会話を通じて修正していく――これが非プロンプトエンジニアリングの考え方です。日常会話レベルのやり取りからでも、十分にAIの力を引き出せます。

 

もっと手軽に始めたいなら、スマホやPCの音声入力機能が便利です。考えを話しながら依頼できるため、文章に打ち込むより自然で、やり取りのスピードも上がります。結果的に「非プロンプト」的な会話がよりスムーズになります。

 

非プロンプトエンジニアリングは、AI活用のハードルを大きく下げます。完璧な指示を練るより、まずは話しかけてみましょう。会話を重ねるうちに、AIはあなたの欲しい形へと近づいていきます。

以上