· 

CSRとしてのBCPで地域を守る企業へ

中小企業診断士 足立秀夫

 

あなたの会社が突然止まったとき、地域社会はどうなるでしょうか。

企業経営において「CSR(社会的責任)」と「BCP(事業継続計画)」は、しばしば別々に語られている概念です。CSRは企業が果たすべき社会的責任を意味し、BCPは緊急事態においても事業を継続するための計画のことです。しかし、CSRとBCPは本質的に密接な関係があり、中小企業にとって切り離せない重要な課題です。

 

CSRとBCPは不可欠

SDGs(持続する世界の発展目標)や情報社会の進展により、企業の信頼は一瞬で揺らぐ時代。だからこそ、CSRとBCPが不可欠です。

サイバーテロや自然災害、感染症など、突発的な危機が頻発する現代社会においてBCPの必要性はますます高まっています。東日本大震災の際、多くの中小企業が人材や設備を失い、事業継続が困難となりました。被害が軽微であっても復旧が遅れ、顧客や取引先を失い、廃業に追い込まれた例も少なくありません。

 

BCPを策定していれば、重要な事業を維持することで雇用を守り、取引先や顧客への責任を果たすことが可能となります。BCPはまさにCSRの実践の一つであり、企業が社会的責任を果たすための基盤です。

BCPは他のCSR活動と連携してこそ効果が高まります。例えば、環境への配慮や地域社会との協働といったCSR活動とBCPを組み合わせることで、危機時にも持続可能な事業運営を実現できます。CSRを単なる理念ではなく、BCPを含む具体的な実践の体系として捉えることが重要です。

 

CSRの一部としてBCPに取り組む

CSRの一部としてBCPに取り組むことは経営者にとっての直接的なメリットがあります。

(1) 信頼

顧客や取引先から「危機に強い会社」と評価され、信頼度が向上します。

(2) 従業員

従業員に誇りとエンゲージメントが高まります。

(3) 金融

レジリエンス認証を取得すれば、日本政策金融公庫の融資条件が有利になります。

 

これらはCSRを「コスト」ではなく「投資」として捉える視点を経営者に提供します。実際に、CSRの一環としてBCPを導入した企業は、災害時にも迅速に事業を再開し、地域社会の復旧に貢献しています。

 

こうした事例は大企業に限らず、中小企業にも応用可能です。「うちは小規模だからCSRは関係ない」と思われるかもしれません。しかし地域社会との信頼が中小企業のCSRです。

むしろ地域に密着した中小企業こそ、BCPを通じて地域社会を守る役割を果たすことが期待されているのです。

 

CSRとしてのBCPは自社の生存戦略

CSRとしてのBCPは「社会貢献」であると同時に「自社の生存戦略」となります。事業の継続は従業員の雇用を守り、顧客や取引先への責任を果たし、地域社会の安定に寄与します。

中小企業経営者にとって、BCPをCSRの一環として位置づけることは未来の信頼を築くための不可欠な選択であるといえます。

 

中小企業がBCPを策定する方法については、中小企業庁が公開している「中小企業BCP策定運用指針」が参考となります。BCPへの取組みレベルに合わせて、「入門コース」「基本コース」「中級コース」「上級コース」といった形で構成されており、自社の状況に合わせて段階的にステップアップできます。

まずは「自社の重要業務は何か」3つ書き出すことから始めてください。それがBCPの第一歩です。不明なことがあればお近くの中小企業診断士に相談してください。

以上