中小企業診断士 榎本博之
2026年が始まった。21世紀になってから四半世紀が過ぎた。取り巻く環境も大きく変わってきている。イトーヨーカ堂が掲げるスローガン「変化への対応と基本の徹底」は、現在の小売業が改めて再任するキーワードと言えるだろう。
日本の流通全体がどのように「変化への対応と基本の徹底」を推し進めていく必要があるのか、整理してみたい。
値上げ対策・コストパフォーマンス強化
つい最近まではデフレ傾向が岩盤のように残っていたように思われるが、値上げ傾向の萌芽は10年以上から動いていた。
コストパフォーマンス(コスパ)に代表されるように、値段以上の価値を見出す売場づくりが重要になっている。小分けやジャンボパックなどの容量の見直し、付加価値の高い商品への情報発信の強化、使い勝手の良さを提案から訴求するなど、値上げが当たり前になる中での買いやすさへの演出がより注目されている。
負担軽減も注目されている。決済対応の生産性向上からセルフレジへの導入が進んでいるが、顔認証や自らが商品をスキャンすることで通過型のレジ対応など、体験価値が差別化の源泉として活用されつつある。店内に配置した人員は接客や提案への情報発信に向けた対応への傾注などメリハリをつけた対応が求められている。
ローコストオペレーション・生産性向上
人材確保難が慢性化している。
労働集約型産業の代表である小売業は数多くのスタッフの確保を前提とした店づくりを行ってきたが、ローコストオペレーション・生産性向上を意識した売場づくりを積極的に進める動きが顕著になっている。
特徴的な動きとしてサイネージなどのデジタルツールの活用を組み合わせた動きである。流通業では「リテールメディア」の注目が集まっている。利用客の購買行動や履歴に応じて、それに応じたコンテンツを発信し、来店や購入の動機づけを高めていく仕掛けを行っていくものである。これまで、接客やPOP等で興味関心を高めてきたアプローチから、データを組み合わせて新たな切り口を加えて多様な接点機会の創出が期待される。
また、デジタル活用においては、人員配置や商品管理など運営面における効率化にも期待されている部分が多い。
重要なのは基本の磨き上げ
このように紹介していくと、変化への対応ばかりに意識を集めがちだが、重要なのは基本の磨き上げである。
商品・サービス、売場づくり、コミュニケーション、情報発信の期待値を押さえ、その対応を地道にしている店舗こそが指示されている。機械やデジタルだけでは解決できるものではない。
「このお店に行けば、いつも欲しい商品が当たり前のように並んでいる」
ことが重要である。その注力をどのように実現していけるか、愚直に取り組む必要がある。
以上
