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令和8年度の補助金の動向

中小企業診断士 木村孝史

昨年12月末に令和8年度当初予算案が閣議決定されました。支援者の立場としては特に中小企業向けの事業を支援する施策に注目しており、今回は直近の状況も踏まえた国の補助金の動向をテーマに採り上げます。
国の成長戦略において、近年は成長力が高く地域経済を牽引する中堅企業を対象に大規模投資や税制優遇を支援する制度も設定されていますが、ここでは限られた経営資源で事業を運営している方々の申請の視野に入る補助金を中心に紹介します。

1.小規模事業者持続化補助金

常時使用従業員数の制約はありますが、その範囲内であればまずは申請検討をお勧めする補助金です。機械装置等費から広告宣伝費など幅広い経費が対象になります。一般型でも賃上げにより補助上限200万円への引上げが可能で申請負担も比較的軽いことから、この水準の予算規模の取組を進める際に有効です。


一般型第19回と創業型第3回の次回公募は、3月6日受付開始で4月30日締切です。特定創業の認定事業者は創業型での申請が可能ですが、次回公募では締切から過去1年以内の創業者に限定されていますのでご注意ください。

2.ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

持続化補助金よりも予算規模の大きい設備投資を伴う新規取組を加速させる場合に、申請検討をお勧めします。商業・サービス業事業者でも申請可能ですが償却資産の所有が必要となるため、製造装置等の導入でなければシステム構築を伴う取組になるかどうかが申請要件を満たす最初のポイントになります。

 

付加価値額増加要件以外に賃金増加要件があり、未達の場合には補助金の返還が求められます。既存従業員一人当たりの賃上げが困難な場合は、新規雇用も考慮して給与支給総額増加により達成を目指せる計画になりそうかどうかが次のポイントになります。

 

もちろん「革新的な新製品・新サービス開発」の取組が目的ですので、採択確度を高めるためにもこの目的に見合う取組になるかどうか、入念な計画立案をお勧めします。1月30日の第22次公募締切以降は、後述の新事業進出補助金と統合され「新事業進出・ものづくり補助金」として公募予定です。

3.新事業進出補助金

建物費や広告宣伝費等の経費も認められる点では、ものづくり補助金よりも対象の幅が広いです。ただし、補助下限で750万円以上であることから、自己負担額と合わせると千万規模での設備投資が求められます。

 

当初は事業再構築補助金の後継補助金とも言われていましたが、「新市場性」と「高付加価値性」の審査基準に関する詳細な説明資料が補助金サイトに掲載されていることからも、厳正な審査がなされる補助金と見做し取り組む必要があります。第3回公募締切は3月26日ですが、それ以降は「新事業進出・ものづくり補助金」として公募予定でもあるため、ものづくり補助金と同等の難易度を想定しての準備をお勧めします。

4.中小企業省力化投資補助金

既存事業の省力化や省人化の取組が対象で、ICTやロボット等を活用した機械装置等の導入を通じて作業工程や工数削減につながる計画立案が求められます。


カタログ注文型では、補助金サイト掲載の製品カタログから省力化に寄与する製品を選定しその販売事業者と共同申請します。上限額は一般型の1/3程度ですが、申請の要件や書類作成は一般型より取り組みやすく随時申請を受け付けているので、まずは随時更新される製品カタログを見て既存事業に活用できる製品があるかどうか、確認をお勧めします。

 

製品カタログに希望製品の掲載が無く、装置やシステム等を特注して省力化に取り組む場合は、一般型での申請をご検討ください。導入前と導入後の作業時間や工数を比較し、大きな省力化の効果が得られる取組となるかどうかが申請のポイントになります。賃金増加が未達の場合に補助金返還が必要となる点では他の補助金と同じですが、2月27日締切の第5回公募から、賃金増加の目標値は、従業員1人あたり給与支給総額を年平均成長率3.5%以上で設定する要件に変更されています。さらに、役員も含めた給与支給総額で目標値を設定する要件は除外されていますのでご注意ください。

5.その他

IT導入補助金は、次回以降は「デジタル化・AI導入補助金」の名称で公募されます。申請枠の種類や申請要件、補助上限は概ね同じと見受けられますが、採択実績のある事業者が再度申請する場合には要件追加がありますのでご確認ください。

上記は、2026年1月30日時点での公募要領や概要チラシ等の公開資料を踏まえた見込です。公募の日程や申請要件、対象経費などは今後変更の可能性がありますので、申請に際しては直近の公開資料等をご確認ください。

以上