中小企業診断士 佐川博樹
行政の窓口相談を承っていると良く聞くのが「市場が縮小していて、弊社も大きな影響を受けています」というお話です。本当ですか?
と思うことがあります。
市場の縮小が影響する場合
たとえば、地元密着のパン屋さんがあるとしましょう。このパン屋さんが
日本のパン市場は縮小が続いていて、その影響を受けてうちも売上が減っているんだよね
とおっしゃったら、それはちょっとと思いますね。もちろん、地元密着ですから、もし、
近くにある団地に住んでいる人たちが年々減ってきて、お客さんが居なくなっているんだよね
という話だと、これはまた違いますね。市場の縮小が直接、パン屋さんの売上に影響していることは想像に難くありません。
こんな風に考えてみると、本当に売上の縮小は市場の縮小が影響しているのだろうかと疑問に思うこともあります。
市場の縮小を言い訳にしたい
自分のやっていることは変わっていない。だから、外部環境が変わったに決まっている。そうだ、市場が縮小しているってテレビで言ってた。業界誌でも市場縮小のニュースが一面を飾っていた!と自社の売上の減少を市場の縮小を理由にしたいということはあるわけです。
が、よくよく聞いてみると、市場が縮小していても売上を伸ばしている競合事業者はいたりもするし、市場の縮小の速度以上に売上が下がっている場合もあります。本当に他に原因はないのでしょうか。
逆に、市場が拡大していた時はそれと同じ割合で売上が引き上がっていたのでしょうか?とまで考えると、市場の拡大、縮小が自社の売上と因果関係があるはずはなかったりします。
市場縮小が理由だと検討する前に
市場縮小が売上減少の論理的理由にはそうそうならないと考えると、他の理由があるはずです。
- 周辺に競合店ができた
- 新しい道ができて、店の前の道に人が通らなくなった
- 店に全く変化がないので、お客様が飽きてしまった
- 飲食店の場合、何かしらの理由で味が落ちた
- メーカーの場合、新製品を全く出しておらず、相対的競争力が落ちた
などなど、考えられることはたくさんあるはずです。
自社の場合はどうなんだろうかと自分で考えるだけではなく、周囲の人たちにも聞き取ったり、直接、お客様に聞いたりすることも大事かもしれません。いまどきなら、AIに聞くというのもありますが、間違いが含まれる場合もあるので、注意したいところです。
試しに生成AIに訊いてみた
「某文具メーカー○○社は売上が減っているようですが、その理由は何でしょうか。」と訊いてみました。
なんと、一番最初に出てきたのは、「文具市場そのものの縮小」だそうです笑。デジタル化、ペーパレス化が進んでおり、学生なども紙を使わなくなっているからだそうです。それに、その会社はどう対応すれば良いのでしょうか。どうにもできないですね。
こういうのを理由にしている間は、売上の引き上げは恐らく見込めないでしょう。
他の理由もありましたが、競合の激化、ラインナップのマンネリ化、露出の減少など、もっともらしいものがたくさんありました。
AIをディスっていますが、実際、こうした「ヒント」は大事だと思います。
こうしたヒントの中から、自社に当てはまるものをきちんと判断して、対策を取れるのであれば、「市場縮小しているから仕方ない」なんてことを考えずに済むのは間違いありません。
市場の縮小には対策が取れない
中小企業の場合は、市場の縮小へ直接対策を打つことは難しいので、それ以外の理由が本当にないかを確認して、対策が取れるものに注目して行く方が良いと私は思います。
ぜひ、どんな原因が考えられるのか、対策はどんなことができるのかを考えてみませんか。
以上
