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やるべきことを、シンプルに

中小企業診断士 池田明広

経営者の方々と状況・課題を整理し、やるべきこととその優先順位・スケジュール、数値計画を定めていく仕事を日々ご一緒していますが、「えっ、そんなに良くなったんですか」というお話を昨年伺うことができました。とてもうれしかったのと、参考になる点もあるかと思い、そのエッセンスだけご紹介します。

 

設備導入による約1割の納期短縮

その事業者さんは大手メーカーの関連会社からの仕事を中心に修理・検査関連の仕事を受けていて、作業プロセスの中に時間が読みにくいアナログな工程があったため、少し余裕を持った納期を顧客に伝えていました。

 

その工程がボトルネックとなっていた面もあり、設備(それほど高価でないもの)の導入を決断し、補助金の活用も見据え計画策定のご

相談をいただきました。納期は1割程度短縮できる見込みでしたが、捻出した作業余力ですぐに受注を増やせるかどうかはわからず、月1件ずつでも徐々に案件を増やし、3~4年かけて稼働を最大化する計画を立てることになりました。

 

課題への対応は、「口頭で」顧客に説明・伝達

課題対応後の販売強化の取組を確認・協議したところ、答えは「口頭での繰り返しの説明」。売上構成比の大きい顧客がいて、そこに対応能力の向上を伝えることが大切な状況だったとはいえ、何とシンプルな、と正直思いました。

 

が、設備導入後1年も経たないうちに受注が大きく増え、勤務日だった土曜日を休みにできるほど業績が向上したということでした。

 

目的に応じた現実的な手段・取組をシンプルに

多くの企業にとって課題となる売上獲得・拡大のためには、「顧客が求める価値への対応能力の伝達」が必須です。

一方、現代はデジタルを中心とした伝達手段の多様化・発達の中で、時に取組が広がりすぎ内容が希薄になってしまうこともあるように感じます(もちろんデジタルはうまく使えばとても有効な手段です)。

 

こちらの会社でも、縮小する市場や売上集中度の高さに対応して、顧客拡大のためのコミュニケーションに別途取り組んでいますが、目的をふまえ現実的にやれる(続けられる)ことを従業員と話し合いしっかりと選んでいて、取組は絞られた内容となっています。

 

整理・選択して、しっかり取り組む

もちろんどんな会社にも事業の特性や顧客の状況がそれぞれあり、何か一つの正解があるわけではありません。こちらの会社では、品質や技術の高さがもともと評価されていて、対応能力の制約から納期が長めの難しい仕事を多く受注していた背景があり、案件を増やせる可能性を感じていた面はあります。

 

また、特定顧客への売上依存度の高さは依然として対応すべき課題として残っていますし、試行錯誤を続けている取組もあります。

ただ置かれている環境・状況の中で経営を強化できる可能性が高い取組が何か、そのために目的に即し現実的に取り組める手段は何か、従業員の納得・協力も得ながら優先順位を考えて実行するプロセスの大切さはどんな事業であっても変わりません。

 

やるべきことをやっていたからこそ、風をうまく捉えられたと言えるようにも思います。

 

対応すべきことは日々山のようにあると思いますが、真に重要なことを従業員と共に粘り強く実行していくために、状況を整理し打ち手・手段をシンプルにすることが大切だと私は考えます。

以上